"広告マンガ家"という新カテゴリー創設"マンガ家"を細分化してみる

みなさん、こんにちは。マンガ家芸能プロダクションのまんがたりです。このブログは日々、まんがたりの業務を進めてきたなかで、マンガ家やマンガ業界の方にぜひ知ってほしいことをテーマごとにまとめたものです。皆様の日々の業務の補助線になれば幸いです。
さて、皆様は「マンガ家」の活躍の場が広がっているのはご存じでしょうか。マンガ家といえば「雑誌やウェブで連載して単行本を発売するクリエイター」というイメージが強いですが、今活動が活発になっているのはそうしたマンガ家とはまた違い、クライアントのメッセージを増幅させて伝える力を持つ「広告マンガ家」です。
「商業マンガ家」とは違う能力が求められる広告マンガ家は、インターネット広告市場が拡大する中で活躍の場が広がる可能性を秘めています。

■歴史ある広告マンガ、インターネットで拡大

広告マンガの歴史は古いもの。広告というメディアが登場したときからイラストレーションが活用され、文字と絵を組み合わせて特定のメッセージを伝えてきました。日本では広告マンガというと進研ゼミのダイレクトメールや日本ペン習字研究会の広告マンガが知られています。
この広告マンガが今注目を集めているのはひとえにインターネットの普及のおかげです。ウェブを通じて読み手に情報を提供するとき、活字だけの文章よりも活字と絵を組み合わせてメッセージを伝えようとするマンガのほうがよりメッセージが伝わる場面があります。ウェブというメディアは紙のメディアに比べて情報を掲載するスペースの制約が少なく、少し長めの物語でも読んでもらうことができます。
さらにスマートフォンの普及でTwitterなどのSNSを通じて、より情報量の多いメッセージを発信したいという個人や企業が増えています。メッセージを発信したいという需要があるところには、マンガの需要があるーーということで、広告マンガ市場が拡大しているのです。
広告マンガが持つ力については、こちらのブログにもまとめています。
【導入事例】有限会社うな勢様向けに広告マンガを制作しました

■広告マンガ家の求められるクライアントを読み解く力

なぜ「マンガ家」から「広告マンガ家」を独立させる必要があるのでしょうか。それは、商業マンガ家と広告マンガ家は求められる能力が違うからです。
商業マンガ家は、マンガ家自身に世間に訴えたい何か、マンガというメディアで表現したいテーマがあります。自分が面白いと思うから、自分が表現したいことがあるから創るのです。最終的には受け手となる読者はいるものの、スタート地点は作り手であるマンガ家が何を描きたいかにあります。様々なITサービスを作るシステム開発で考えると、自社で解決したいことを持つ自社開発です。
一方で広告マンガ家は、まずクライアントと対話する必要があります。クライアントが広告を通じて伝えたいことを整理しながら、その内容がきちんと広告の受け手に伝わるためにどう表現すればいいのかを、クライアントに提案する必要があります。
クライアントのいうままに描いていれば、必ずしもクライアントの目指す広告効果が得られるわけではありません。クライアントの伝えたいことをマンガを通じて伝えるにはどうすればいいのかを考えるという難しさがあるからこそ、広告マンガ家にはニーズがあるのです。
何か描きたいテーマがある人よりも、自分では描きたいテーマは思いつかないけれども、与えられたお題をマンガというメディアでいかに面白くできるかを考えられる人が向いているといえそうです。
もちろんメッセージを発信したいクライアントがいるわけですから他人とのコミュニケーションはある程度できたほうがいいでしょう。ただこのコミュニケーション能力は、ある程度鍛えて一定のレベルまで引き上げることのできるビジネススキルです。まんがたりの行動指針にもしていることですが、このコミュニケーション力は、クライアントに正面から目線をぶつけるのではなく、同じ目線でクライアントの求める景色をみたうえで、あたかも仲間になったように考え、クライアントの本当に求めるものを考える力と言い換えられます。

■識マンガ率の高さが支える広告市場

まんがたりは日本の広告マンガ市場はさらに広がると確信しています。日本では子供だけでなく成熟した大人もマンガを読むのが一般的になっており、マンガを読み解くためのリテラシー、識字率ならぬ識マンガ率が非常に高くなっています。「ドラゴンボール」など数々の大ヒット作のおかげで、日本では幅広い人々が「マンガの読み方」を習得しているという現実があります。この識マンガ率の高さが、広告マンガ普及の下地となるわけです。
人やストーリーが面白がる物語を創ることで、結果として企業の知名度をあげていくーー例えばそうした広告マンガには、消費者を商品やサービスの開発者のファンにして「その人が開発した商品・サービスなら使ってみよう」と消費者の感情を動かすような「作品」が含まれるかもしれません。
機能の説明中心の広告から感情を揺り動かすような広告が浸透していったとき、広告マンガの生み出す価値はもっと大きくなるでしょう。それを生み出す広告マンガ家の活躍の場も広がることになるといえそうです。